京都での4年を終えて

今死んでも後悔はないと言えるほどに、充実し納得のいく学生時代であった。

文章表現にほとんど触れてこなかった、文学部生としてあるまじき存在の私だが、少しだけ自分語りをさせていただこうと思う。

 

大学4年間での学びは本当に数えきれないけれど、「人と素直な心を交わした」ことが一番大きな要素であったと感じる。
文字にするとシンプルなこの行いを、私は高校までほとんどしていなかった。それを大学生活を送る中で初めて経験できたように思う。

おかげで、10年以上楽器演奏に触れていながらほとんど初めて“音楽”をした。
初めて愛というものを認識した。
心から尊敬できる人に何人も出会えた。
人がそれぞれに考えて生きていることを知ったし、自分が如何に考えずに生きてきたかということを実感した。
そんな自分に対する理解と諦めを手に入れた。……

これらはきっと、京都というまちで、自分の入ったサークルで、この世代で大学時代を過ごしたからこそ得られた経験であり、私はあまりに幸運であったといえる。

 

私はこれまで人並み以上の社会性を身につけ、流れのままにしっかりと社会のレールに乗って生きてきたように思う。勿論それだからこそ得られているものも沢山あると思うし、これはこれで自分の特徴として受け入れているが、まあつまらない人間である。(この認識も大学で初めて得たものだが)
そんな中で、生まれも育ちも本当に様々な人たちと、時には寄り道しつつ素直な心を交わすことができた経験は、自分の見える世界、また自分自身をそれまでとは比べ物にならないほど豊かにしてくれた。
この先またそんな環境に巡り会える保証はないと思っている。

社会人となるとどうしても広く浅い交流関係が中心になるのかもしれない。しかし、だからこそ自分や他人への素直さというものを忘れずに、大事にしていきたいと強く感じている。

 

最後に大学生活で出会った素敵な歌、山下達郎の「SOMEDAY(いつか)」の歌詞の一節を。

二度と会えない素直な愛に
さよならをする人などいない
だからいつまでも顔を曇らせ
辛い日を送ることはない

 

出会えた皆さんに心から感謝しています。
愛しています。
また会う時まで、お元気で。